・音源

*登場人物*
・ヘンゼル
・グレーテル
・魔法使いのおじさん
・アイシテル(魔女の家にある人形)
・隣の国の王子
・ナレーション(話の進行役)



※本番はグレーテルは男の子がやり、王子は女の子が広島弁でしました。





(音楽を流しながらナレーション)


ナレーション:最初に言っておくことがある。これはあくまでも兄妹愛の物語である。
ある童話に基づいて作成されているが、全くの無関係であるので不快に思わないよう気軽に聞いてほしい。



(ちょっと間を空けて)



貧しい夫婦が、大きな森の近くの小屋に住んでいていました。二人には子供がいて、男の子がヘンゼル、女の子がグレーテルといいます。毎日しがなくいきていて、少しばかりの食べ物で暮らしてきました。しかし、ある年、国中が大飢饉にさいなまれ、益々食料難に陥りました。
夫婦は困り果ててしまいました。
なんせ自分たちの食べるものすらない始末なのです。
考えた末に彼らは子供たちを森の中に置き去りにすることを泣く泣く決意しました。
翌日。
朝早くにヘンゼルとグレーテルは昼食用のパンを手渡され、四人で薪を拾いにいくことになりました。
昨晩の話を聞いていたヘンゼルは、家に戻って来られるようにと後ろを振り返っては細かくちぎったパンを落としていき、目印を作っていったのです。
案の定、森の奥深くに到着すると、夫婦は木を切ってくると言ってその場から去っていきました。
案の定そのまま兄妹は置き去りにされてしまったのです。


(森の夜の音っぽいもの)


グレーテル:ねぇ、お兄ちゃん。
ヘンゼル:なに? グレーテル。
グレーテル:夜になっちゃったね。
ヘンゼル:そうだね。
グレーテル:やっぱり捨てられちゃったのね、お父様とお母様に。
ヘンゼル:そんなことないよ。
グレーテル:だってそうでしょ、帰って来ないじゃない。
ヘンゼル:大丈夫だよグレーテル、お兄ちゃんに任せな♪ そんなこともあろうかと、パンをちぎって落として家までの目印を作ってきたんだ。だから絶対に戻れるんだよ!
グレーテル:いつもは何も考えていないお兄ちゃんでも頭が冴えている時があるのね。気が利くじゃない。
ヘンゼル:バカなお兄ちゃんだって、頭くらいは使うさ。
グレーテル:普段から使ってほしいものだわ。
ヘンゼル:ほら、パンくずに沿ってかえろ・・・・う?
グレーテル:どうしたの?
(ピンチ的な音?)
ヘンゼル:パン・・・・パンがない!
グレーテル:パンがなかったら帰れないじゃない。
ヘンゼル:きっと小鳥たちが食べてしまったんだ。
グレーテル:どうしてパンなんか置いて目印にしたのよ。せめて小石にしていたらよかったのに。
ヘンゼル:僕たちはもう帰れないのかなぁ・・・・
グレーテル:さっき誉めたのは撤回ね。やっぱりバカだわ。
ヘンゼル:これからどうしよう、グレーテル。
グレーテル:どうしようもないでしょ。お兄ちゃんの責任だからね。ちゃんと家に帰れたときにはきっちり訴えさせてもらうから。
ヘンゼル:食べるものもなくて、僕たちは死んでいくんだ・・・
グレーテル:お兄ちゃんが勝手に死ぬのは別に構わないんだけど、私も一緒に巻き込まないでよね。
ヘンゼル:だって・・・・
グレーテル:もう、いつまでもくよくよしないで! 辛気臭いったらありゃしない。ごたごた言ってないで、とにかく行くわよ。


ナレーション:頼りない兄・ヘンゼルと容赦ない言葉を突きつける気の強い妹・グレーテル。
悲しみに暮れているのもつかの間、グレーテルはヘンゼルを無理やり引っ張り、帰り道を探し歩き始めます。
満月が照らす中、二人は真っ暗な夜道を歩き続けました。
(歩く音)
明くる日も、明くる日も、歩き続けとうとう三日が経ちました。
それでも森の外には出ることは出来ませんでした。
さすがに二人の疲労もピークに達し、おなかも空くばかり。
二人はこのまま家にも帰れずここで、行き倒れるのでしょうか?

(ちょっと間を置いて)
その時、甘い甘い香りが漂ってきました。
近くには小屋があり、どうもそこから漂ってくるようです。
おなかがペコペコの二人はその甘い香りに誘われて思わず小屋に二人は近づきました。



ヘンゼル:これ、お菓子で出来てる・・・?
グレーテル:本当だわ、壁はスポンジとビスケット、屋根は生クリーム、窓は砂糖で出来ているのね!
ヘンゼル:グレーテル! 食べようよ!!
グレーテル:でもむやみに食べちゃうと、器物破損で訴えられるかもしれないわ。そうなると最初に手をつけた私たちはかなり不利になるわよ。ここはちゃんと考えたほうが策だと思うの。
ヘンゼル:そんなややこしいこと考えなくて大丈夫だって! 第一これ童話だし、訴えられる設定になってないから。
グレーテル:・・・まぁ、それもそうかしらね。

(食べる音)

ナレーション:そんなこんなでお菓子の家を見つけた二人は空腹を満たすために食べ始めました。
すると・・・


(怪しい音?)
魔法使い:誰だ? 俺の家を勝手に食べているのは。
ヘンゼル:気のせい、気のせい。きっと風の音だって。
魔法使い:・・・・俺の家を食べているのは誰かと聞いてるんだ。
グレーテル:そんなに気になるんなら、耳栓でもしとけば?
ヘンゼル:僕たちにお構いなく。
魔法使い:気になるもなにも、それだけしゃべってれば誰だって気になるだろ!
グレーテル:うるさいなぁ、おじさん。こんなのだったらまだ原作通りおばあさんのほうがすんなり話も進んだんじゃない?
魔法使い:うるさくさせてるのはお前らだろ!
グレーテル:(ちょっと間を置いて)おじさん。
魔法使い:何?
グレーテル:怒ってばかりいると、眉間のしわが増えるよ。
ヘンゼル:増えるよ。
魔法使い:腹が立つ奴らだな! 今に見てろ。


ナレーション:(セリフっぽく)そんなことはどうでもいいですから、早く話を先に進めてください。


魔法使い:・・・あぁ、そうだったな。
おやおや、可愛い子供達だ、誰につれられてここまで来たのやら。すごく疲れただろう? さあさあ、入って、ゆっくりお休み。なんにも心配する必要ないんだぞ。
グレーテル:うわー・・・いかにもっていうセリフだわ。それで私たちを騙してるつもり?
ヘンゼル:きっとおじさんも必死なんだよ。むしろ言えたこと誉めてあげようよ。
グレーテル:そうね。おじさん、上手く言えたね、エライエライ。
ヘンゼル:よかったね、おじさん。
魔法使い:お前らに慰められるほど落魄れちゃいない!!
グレーテル:無理して言ってあげているっていうのがわかんないかなぁ・・・そんなんだから無駄に怒って歳食うのよ。
ヘンゼル:おじさんにはがっかりしちゃうなぁ〜。
魔法使い:口答えばかりしていないで、さっさと中には入りな!
グレーテル:・・・はいはい。暇だし付き合ってあげるよ。
ヘンゼル:・・・・・。

ナレーション:魔法使いは顔を引きつりながらも、やっとのことで二人を家に連れ込むことに成功したのです。

(メルヘンな音楽?)
ヘンゼル:わぁ! すごいご馳走!
魔法使い:牛フィレ肉の詰め物パイ包み焼き、牛タンの蒸し煮、子羊ロース肉のニンニク風味ソース添え、若鶏に詰め物ロースト、帆立貝のサフラン風味ソース添え、小エビのブロシェット、他にもなんでもあるから好きなだけお食べ。
ヘンゼル:こんな料理みたことない! 本当に食べていいの?
魔法使い:いいとも。
ヘンゼル:やったぁ!
グレーテル:(前のヘンゼルのセリフを言ったらすぐに言う)ちょっと待って。もしかしたら毒が入っているかもしれないわ。
ヘンゼル:グレーテル、それはおじさんに失礼だよ。
グレーテル:お兄ちゃんは疑いなさすぎよ! こんな森の中でおじさん一人、私たちが来ることがわかっていたかのような手際のいい料理の数々。どうみても怪しいわ。
魔法使い:いらないのなら別にいい。俺一人で食べるから。
(ちょっと間を置いて)
あぁ。おいしい美味しい。特にこの若鶏に詰め物ローストは最高だね。とうもろこしと乳製品だけを餌にした最高の鶏肉を使っているから、格別だ。
ヘンゼル:グレーテル、早くおじさんに謝って! おじさんは料理が上手くて優しい人だって!
グレーテル:・・・・おにいちゃんが言うなら仕方ないわね。食べてあげる。
魔法使い:(ちょっと声控えめで)このくそガキ・・・。(気をとりなおして)さぁ、どんどんお食べ。   そしてゆっくりお休み。




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